他者は変えられないが、自分は変えることができる
あれもダメこれもダメと、ネガティブな考えが染み付いている人って、世の中にはいますよね。
そんなネガティブ思考や劣等感に悩まされて生きるのがつらい人を救うのが、かの有名な精神科医であるアルフレッド・アドラーの「嫌われる勇気」(アドラー心理学)です。
アドラー心理学では、“今この瞬間から人は変われるし、幸福になることもできる”と言う考え方を基本としています。
さて、今回は名著「嫌われる勇気」について、ざっくりと要約しました。
より良い明日を生きるために、参考になる考え方だと思います。
以下より、学んでいきましょう。
本書の要点【結論】
✅やりたいことがあっても実行できないのは、過去や能力不足などは全く関係なく、「嫌われる勇気がない」だけである。
✅ 「嫌われる勇気」を手に入れるためには、他者に貢献する必要がある。
✅しかし、他者から褒められることを期待してはいけない。
✅なぜなら、他者の期待に応えようとすると自分の思うように生きられなくなるから。
✅自分なりに他者に貢献し自信をつけて、自分が心からやりたいと思うことを実行にうつすべきである。
✅なお、結果は重要ではない。一歩踏み出して自分を変えられたことに価値がある。
それでは、もう少し詳しく内容をみていきましょう。
Contents
今の自分と過去は、全く関係がない(傷つかないために、人はできない理由をつくる)
“現在の自分は、過去と全然関係がない”って言われると、正直に言って「はあ? 何言ってんの?」ってなりますよね?
ですが、アドラー心理学では“過去(トラウマ)は今の行動に全く影響与えないものである”と考えます。(=自分がある行動を起こそうとしたとき、それができない原因は過去にはない、ということです。)
アドラー心理学では、過去の原因ではなく、今の目的から物事を考えていきます。
たとえば、好きな女性がいて、なかなか告白ができないでいるとしましょう。
この場合、告白できないのではなく、告白をしたくないのです。
“告白をしたくないと”いう目的を果たすために、使い勝手の良い過去のつらい経験や、自分自身の欠点をひっぱり出してきて、“自分はダメな人間である”という感情をつくりあげ、その結果、行動にうつさない。
告白しなければ、嫌われることもないですし、傷つかずに済みますからね。
つまり、傷つきたくないという目的を達成するために、できない理由を自分自身でつくってしまっているのです。
この考え方は、私も思い当たる節があります。確かにそうかもしれません。
また、そもそもできない原因が、全て過去にあるのだとしたら、何をやっても無意味ということになってしまいますよね。
それに、“過去にトラウマがあるからできない”という考え方は、人を非生産的にしてしまう可能性があります。
そして、そのような考え方を乗り越えて行動にうつすためには、自分自身を変える必要があります。
自分自身を変えるにはどうすれば良いのか?
では、自分を変えるにはどうすれば良いのでしょうか?
まず、過去は関係ないと考える必要があります。
そして、嫌われることを恐れずに行動にうつすことです。
そうすれば、たとえフラれたとしても、今より前に進むことができます。
自分を変えるということは、今まで入らなかった立ち入り禁止エリアへ1歩踏み出すことに他ならないのです。
今ままでやりたかったけど、怖くてできなかったことを思い切ってやってみる=これが「自分自身を変える」ということになります。
“フラれたら意味がない”
そう考える方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、行動を起こさずに、ただダラダラと「できない理由」を考えて時間を無駄にしている方が、はるかに意味がないと思いませんか?
多くの場合、勇気を出して行動したことの結果を、自分自身でコントロールすることはむずかしいでしょう。
「告白できた自分」「変化できた自分」を喜べば良いのです。
人の悩みは、すべて人間関係から生じる
自分のことを変えるのが怖い、と思う方もいらっしゃるかも知れません。
それはよくわかります。私も同じように考えますし、誰でもそうでしょう。
ですが、そもそも他者は、あなた(=行動を起こした人)のことをあまり見ていません。
あなたが告白したとしても、周囲の人にとっては、そこまで重要なことではないのです。
行動できない理由として、自分が欠点だと思っていること(=顔に自信がない、身長が低い、うまく話せない等)を気にしているのは、自分自身だけのことが多いのです。
アドラー心理学では、人の悩みはすべて人間関係の悩みだと考えます。
背が低かったり、顔に自信がなかったりなどは、他者がいるからこそ発生する悩みでもあります。もし、この世に自分1人しかいなかったら、そのような悩みは生じないでしょう。
それに、たとえば身長が低いからダメだと考えるのは、その人の個人的な考え方になります。
仮に、身長が低いという劣等感をバネにして努力し、なんらかの成功を得られたとしたら、身長が低くても関係ない、と思えるのではないでしょうか?
つまり、この世の中には、良いも悪いも存在せず、すべてはその人がどのように物事を捉えて、どう考えるかで人生は決まります。
“がんばっても意味がない”と考えて何も行動しないのか、それとも、“プラス方向に転換して乗り越える”のか、結局は自分自身の選択次第なのです。
他者の期待に応えることを優先してはいけない
とはいえ、明日から、この世に自分1人しかいくなるわけではありません。
他者から“No”といわれたり、嫌われたりするのが怖いと思うかもしれません。
結局のところ、どうすれば良いのか?
たとえ、他者から嫌われたとしても、行動するしかないのです。
もちろん、わざと嫌われろ、ということではありません。
他者から嫌われることを恐れていたら、自分らしく行動できません。
だから、嫌われても良いと考えて、実行に移すべきなのです。
ただし、“誰かから褒められたりすることを期待せずに”です。
アドラー心理学では、他者から好かれたり、褒められたりすることを期待してはいけないと考えます。
なぜなら、もし誰かから褒められるために、勉強や仕事、告白などをするのだとしたら、褒められなくなったら、やめてしまう可能性が高いからです。
それに、他者に好かれることばかり考えていたら、毎日他者の顔色ばかりを伺って、“良い人”を演じ続けなければいけません。これはあまりにも息苦しい生き方といえます。
今、行動できないのは、過去や能力不足など一切関係ありません。
他者から、嫌われる勇気がないだけなのです。
嫌われる勇気がないと、自分の生き方を貫くことができなくなってしまいます。
同僚や家族、友人、先生などに褒められることや嫌われることを恐れずに、自分の信じる道を行けば良いのです。
そのように生きていけば、人間関係の悩みは減っていくと考えられます。
なぜなら、誰かに褒められることも、嫌われることも気にしないのですから。
その過程で、もしかしたら一時的に孤立することがあるかもしれません。
しかし、そうすれば自分のやりたいことができます。
少し乱暴な言い方かもしれませんが、自分の生きる道は、同僚や友人等はもちろんのこと、親にすら譲ってはいけないのです。
自分の人生は、自分自身が主人公なのですから。
また、そうやって生きていけば、いずれ本音で分かりあえる仲間ができるはずです。
人は、他者の役に立っていると思えたときに、自らの価値を実感できる
ですが、これまでの人生、“他者から嫌われないように生きている”という方は多いのではないでしょうか?
今から、“他者から嫌われても良いから自由に生きる”なんて、そんな簡単にはできない…、そう考えてもおかしくはありません。
では、どうすれば、“嫌われる勇気”を得る(出す)ことができるのでしょうか?
嫌われる勇気がないのは、自分は無価値な人間だと感じているからです。
“自分に価値がある”と思えれば、誰に嫌われても気にならなくなります。
人の目など無視することができるようになるでしょう。
褒められても、嫌われても、そんなことは関係ありません。
要するに、“嫌われる勇気”が欲しければ、勘違いであっても思い込みであっても良いので、“自分は価値がある”と、実感することができれば良いのです。
それでは、どうすれば、“自分には価値がある”と思えるのでしょうか?
私たちは、誰かの役に立っていると思えたときに、自分自身の価値を実感することができます。
つまり、“嫌われる勇気”を持つためには、他者に貢献すべきということになります。
ただし、“仮に他者から、まったく褒められなくても”です。(←ここが重要です!)
たとえ、誰も褒めてくれなくても、はたまた嫌われようとも、自分が他者に貢献していると思うことをやれば良いのです。
他者に貢献するのは、結局は自分のため
それでは、誰も褒めてくれなくても他者に貢献していると思えることって、どのようなことが思い浮かぶでしょうか?
たとえば、募金やボランティア、仕事などは、他者に貢献する行為といえます。
その際、場合によっては、まったく褒めてもらえないこともありますよね?
あなたのその行為を、誰にも気がついてもらえなかったりする場合もあるかもしれません。
(※募金だったら、その際に“ありがとうございます”って言ってもらえるかもしれません。でも、たとえば、日々の仕事だと、誰もやらない、または、誰も気がつかないかもしれないけど誰かがやらないと困るちょっとした雑用って、たくさんありませんか?)
誰も気づいてくれないかもしれないけど、“誰かの役に立つ”と思うことができれば、自分はここで働いている意味がある(=自分には価値がある)と、考えることができます。
つまり、実はそもそも他者に貢献することは、自分のためでもあるのです。
他者が褒めてくれるかどうかは関係ないのです。
自分が“他者に貢献している”と思うことができれば、自分の価値を実感して、自信や勇気が湧いてくることでしょう。
ちなみに、大金持ちなのに、仕事を続ける人って世の中にはいますよね。
あれって結局は、仕事を通じて誰かの役に立つことで、自らの価値を実感しているのです。
だから、経済的にはゆとりがあるはずなのに、仕事はやめない。
仕事をして結果を出す→誰かが喜ぶ→自分ってすごいって思える→だから、仕事が楽しい。
このサイクルを好循環で回しているのです。
なお、誰かの役に立つこと=仕事でなくてもOKです。なんでも良いのです。
たとえば、道路の掃除でも良いですし、自分からあいさつして職場の雰囲気を良くするのだって良いのです。
また、そもそも彼氏彼女や赤ちゃん、ペットから見れば、あなたが存在しているだけで十分に役に立っているし、価値があるのです。
褒められたいという期待を持たず、積極的に他者に貢献し、自信をつけていきましょう。
嫌われる勇気とは?
まとめると以下の通りです。
結論
✅やりたいことがあっても実行できないのは、自身の過去や能力不足などは全く関係なく「嫌われる勇気がない」だけである。
✅「嫌われる勇気」を手に入れるためには、他者に貢献する必要がある。
✅しかし、他者から褒められることを期待してはいけないし、嫌われることを恐れてはいけない。
✅なぜなら、他者の期待に応えようとすると自分の思うように生きられなくなるから。
✅他者に褒められることを期待せず、自分なりに他者に貢献し自信をつけて(=「嫌われる勇気」を手に入れて)、自分が心からやりたいと思うことを実行にうつすべきである。
✅なお、行動して得られた結果は、それほど重要ではない。
一歩踏み出して自分を変えられたことが、最も価値があることである。
過去や今の感情は関係ない。
今日この瞬間から自分自身を変えて、自分の人生をプラス方向へチェンジしよう。